2010年02月01日

1/29の事故 まとめのようなもの

巻き込まれた方は本当にお疲れさまでした…。当日はJR東海の社長交代のニュースもあったんですが吹っ飛んでしまいましたな。

■役員の異動について
http://jr-central.co.jp/news/release/nws000455.html

あらかたの情報は出てきた感じがするので、2件の事故がどんなだったか整理してみようかと思います。

*JR北海道 踏切でスーパーカムイとダンプ衝突

■北海道で特急とダンプ衝突 乗客ら41人軽傷 - 47NEWS(よんななニュース)
http://www.47news.jp/CN/201001/
CN2010012901000462.html

■列車事故:特急とトラック衝突 乗客ら25人軽傷 北海道 - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/jiken/graph/20100129/

最終的にはけが人41人ということで集計できたのかな…ダンプ・特急列車ともに大破ということでショッキングな光景でした。列車側は前頭部が原形をとどめない壊れ方をしていますが、789系は運転席がかなり上部にある構造だったのが不幸中の幸いというか、もしこれが785系の運用に当たっていたら…と思うと空恐ろしいものが。ところで、一見789系の前頭部が今流行りの「クラッシャブルゾーン」にも見えるんですが、特にクラッシャブルを意識して設計されたものではないのだそうです、一応。
あと、JR北の特急車両で789系以外の新系列(キハ281系以降)では先頭部の貫通扉に小窓があって、誰でも先頭からの展望が楽しめるようになっています(主目的は保線の係員が線路状態を目視で点検するため…のような気もしますが)。こんな事故が発生した後ではちょっと見に行くのもはばかられるかも。

事故処理は車両2両をクレーン車で線路から撤去する必要があった、ということで、修理不能であれば代替新造になるでしょうね。しばらくスーパーカムイ〜エアポートの系統は予備の車両が少ない状態で回ることになるので、検査が重なったりすると他の車両で代走が発生するかも。

*東海道新幹線 架線トラブルのため3時間以上運転見合わせ

■時事ドットコム:東海道新幹線、3時間ストップ=架線切れ、線路脇で火災・品川−小田原間一時停電
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&rel=j7&k=2010012900865&j1
■中日新聞:東海道新幹線3100人缶詰め 品川−小田原間で架線切れ停電:社会(CHUNICHI Web)
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/
CK2010013002000141.html

切れたのは「補助吊架線」と言われる線で、直接パンタと触れる「トロリ線」の上に平行に張られています(以下、下の2つのリンクを参考に。2つ目のリンクはRTRI(鉄道総合技術研究所)の発行誌の記事で図がついておりわかりやすいです)。架線の張り方にも色々ありまして、「補助吊架線」は「コンパウンドカテナリ式」の場合に通常の吊架線に追加して張られているもの。通常の方式(シンプルカテナリ式)だと、パンタが架線に当たると架線が押し上げられてパンタと離線→スパークなんてこともよくあるんですが、補助吊架線を入れることで構造が丈夫になるのではね上がりが抑えられて集電が安定します。また、送電線が吊架線・補助吊架線・トロリ線の3本になるので大電力の送電が安定するという効果も。新聞記事やらを見るとどうも1985年頃に今の「ヘビーコンパウンドカテナリ式」に張り替えた模様。

■架空電車線方式 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9E%B6%E7%A9%BA%E9%9B%BB%E8%BB%8A%E7%B7%9A%E6%96%B9%E5%BC%8F
■架線を張る金具
http://www.rtri.or.jp/infoce/rrr/2009/01/200901_02.pdf

で、パンタが悪かったのか架線が悪かったのかはともかく、断線+パンタ破壊と補助吊架線の垂れ下がりで地面及び線路に触れてショート、補助吊架線は線路との間でスパークを起こして火花が線路脇の草むらに飛び火、大電流が地面に向かって流れる送電異常(地絡)が起きて変電所では送電を停止する、と、大方こんな構図だったようですね。

ニュースの時間経過の中で「運転見合わせ区間拡大」という話が何度か出てましたが、これはある種東海流の見合わせ区間の発表のしかたが原因で、先が詰まってようがとりあえず列車がまだ動いている区間については見合わせ区間にしないことにしているようです。今回の上りで言うと、小田原を先頭として各駅に列車が停止させられるとともに区間が拡大、完全に前が詰まって新大阪からさえ1本も発車できない状態になってはじめて「東京〜新大阪間見合わせ」と。発表になっている見合わせ区間が短いからと言って、目の前の列車に飛び乗っても先の列車の本数次第では乗ったときの見合わせ区間に到達しないところで足止めを食らう可能性があるわけです。
一方の下りも見合わせ区間が拡大しましたが、こちらは事故発生前に現場を通過した列車がどんどん西へ進んでいって、後続列車が空っぽになった(次に出発できる下り列車がなくなった)時点で見合わせ区間を拡大。在来線のように全区間一斉にべったり見合わせ(けど実際は一部動いてる列車があるかも)、という発表をしないので、異常時には気に留めておいた方がいいかもしれません。

ところで、既に「原因は補助吊架線の老朽化じゃないか」という論調の記事が出てきてるんですが…

■新幹線事故:切れた吊架線、85年以降交換せず 老朽化か - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/
20100130k0000e040050000c.html

確かNHKのニュースだったと思うんですが、「一度張れば通常何十年も使い続けるもの」という説明がされていたような。25年という年月を長いと見るか短いと見るかは別として、現在の「ヘビーコンパウンドカテナリ式」自体が比較的新しい方式なので、採用時に補助吊架線については耐用年数をかなり長めに想定していたか、「永久構造物」と言われるもののように耐用年数の設定自体を考えていなかったんじゃないかな、という気がしています。少なくとも25年の間に一度でも張り替える予定は元々なかったんじゃないかと。トロリ線であればパンタと直接当たる線で当然摩耗もするので取り替えなければいけないのは自明ですが、その上に左右からテンションをかけて張られているだけの補助吊架線では極端な言い方をすると「張り替え不要という認識が常識」だった可能性もあるわけで、これまでに補助吊架線が切断された事故が自信や飛来物によるものしかなかったことを考えると、今の時点で「老朽化か」と見出しをつけて報じるのは早計ではないか、と思わざるを得ないですね…。
この件では国土交通省から警告書も出ていますし、重大事故と判断されれば運輸安全委員会(旧・航空鉄道事故調査委員会)が調査に乗り出すことも考えられ、その場合相当慎重に調査が行われることになるので、いずれにせよ最終的に原因が判明するのは結構先のことになるのではないかな、と思います。もし調査の結果本当に老朽化(金属疲労?)が原因だった、ということになれば、今度はコンパウンドカテナリ式を採用している長野・九州以外の全新幹線に問題が飛び火するのでこれはこれで大変なことになるかもしれません。

で、翌朝から通常運転に戻ったあたりは流石に頑張ったな東海、と思ってたんですけど、

■東海道新幹線、また運転見合わせ 変電所の工事で誤配線 - 47NEWS(よんななニュース)
http://www.47news.jp/CN/201001/
CN2010013101000042.html

このミスはあまりにもいだたけない…。新幹線というシステムが世界に飛び出そうとしているときだからこそ普段以上にしっかりしてほしいですな。

■高速鉄道の海外事業展開について
http://jr-central.co.jp/news/release/nws000450.html

 

以下陰謀論めいた話になるので余談。

 

 

「産業スパイ」というのがいるらしいですが、今度の事故は日本の新幹線システム採用を阻止する「産業テロリスト」の仕業なんじゃないの?という意見をちらっと見かけました(時期が時期だけに)。流石に考えすぎなんじゃないの、とか25000Vの電線にどうやって工作するの、とか疑問だらけではあるんですが、国際間の受注競争ともなるとこういうことを仕掛けるやつがいる可能性もゼロではないのかなー、と思わないでもないですね…。

posted by てつお at 01:51| Comment(1) | TrackBack(0) | ニュース詰め合わせ
この記事へのコメント
突然のコメント失礼します。

停電で運転見合わせとJRが発表するのはゴマカシだと思います。

電車は停電では動きません。

不通になっているとか運転できない状態は正しい表現だと思います。

てつおさんはどうおもいますか?
Posted by 与太郎 at 2010年02月02日 00:53
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